アクセプタンス&コミットメントセラピー|ACTの基礎知識

ACTとは

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and commitment therapy、ACT)は次世代の認知行動療法としてS・C・ヘイズが開発した心理療法で、エビデンスに基づいた科学的なセラピーです。

臨床行動分析(第3世代の行動療法)や関係フレーム理論と深い関係があります。ACTはうつ病や不安障害など幅広い精神疾患の治療に応用されています。

ACTは物事に対する考え方や捉え方を根本的に変革するものです。

アクセプタンス&コミットメントセラピー

アクセプタンス&コミットメントセラピーはマインドフルネスアクセプタンス価値に基づいた生き方の3つのパートから構成されます。

苦痛と苦悩

ACTでは不安などの精神的苦痛苦悩を明確に区別します。苦悩は苦痛よりも厄介なもので、苦痛になんとか対処しようと努力することで苦悩が生じると考えます。ACTの目標は苦痛を取り去ることではなく、苦悩から抜け出すことで前向きに人生を歩めるようにすることです。

ACTによれば苦痛は普遍的なものであり、誰でも持っているノーマルなものであり、さらに重要なものと考えます。苦痛は取り除くべきものではなく重要な伴侶なのです。従来の認知行動療法では苦痛を取り除くことを目指しますがACTでは苦痛が増加することは防げても、苦痛を取り除くことはできないと考えます。

精神的苦痛を当然に存在する人生の事実と考える点は森田療法の基本理念に通じるものがあります。

苦悩から抜け出す最初のステップ

厄介な苦悩から抜け出すには先ず最初に苦痛をアクセプトすることです。

苦痛との不毛な戦争に勝利しなければならないわけではないのです。勝敗など無視して、戦場を立ち去り、今すぐにでも前向きで充実した生活を始めれば良いのです。

すなわち、不安や恐怖といった精神的苦痛を感じた際に、この苦痛をなんとか取り除こう、何か別のことをして気を紛らわせようという対処方略は根本的に間違っているのです。

正しい戦略は、例えば不安を感じたときは、その感覚を紛らわせようとせずに、苦しんでいる自分に手を差し伸べるようなつもりで、静かにじっと不安に注意を向けるというものです。

そうするうちに不安感などのストレス反応は和らいでいきます。

皮肉にも苦痛を排除する工夫をしないことが、苦痛を和らげることなのです。また、苦痛をなんとかしようとあがけばあがくほど、苦痛は増大します。

2つの苦痛

苦痛は2種類あります。不安や憂鬱といった存在の苦痛と、苦痛が原因で望み通りの行動ができない、前向きに人生を歩めないといった不在の苦痛の2種類です。

存在の苦痛を避けようとすればするほど、存在の苦痛そのものも増えるし、不在の苦痛はもっと増えます

苦痛は普遍的でノーマルなものであり、苦痛を取り除こうとする作戦は必ず失敗するというわけです。

体験の回避

例えば、全くやる気がしないから仕事や勉強をしないといった体験の回避はとても悪質で厄介です。体験の回避は存在の苦痛を増大させます。またその回避によって前向きな行動が減るので、体験の回避は不在の苦痛を引き起こします。苦痛を伴う思考や感情を体験することを回避することから苦悩が生じます。気晴らし的対処法で体験の回避をすると、回避した苦痛はさらに影響力を増し、より強く頻繁に発生するようになります。

苦悩を抜け出す第2のステップ

体験の回避が効果を発揮することはあり得ないことをアクセプトする

応じることができる

もし苦痛のコントロールを完全に手放したら何が起きるでしょうか?-苦痛が無くなることは絶対にありませんが、苦痛が増えることを防げます。それに、前向きで生産的な行動ができます。人生が前進します。その結果、不在の苦痛は無くなります(存在の苦痛はけっして無くなりはしませんが…)。

自分の苦痛をコントロールしネガティブな体験を避ける努力を手放すことです。

苦痛のレベルを調整することは応じることができないことです。

苦痛が生じたとき、私たちはそれに応じることができるのです。苦痛があるとき実際に自分にできるなんらかの反応があるのです。苦痛が起きても私たちは常に反応できるのです。

苦悩を抜け出す第3のステップ

苦痛に応じることができることをアクセプトすることです。

ウィリングネス(進んで~する)

不安を避ければ不安が増える。からといって、不安になりたいと思えば不安にならないわけではありません。それでは結局、本当は不安になりたくないということであり、苦痛をコントロールするという泥沼にはまっています。そうではなく自らいやがらずに不安を感じることです。苦痛は常にあるのです。体験の回避はけっして効果的に機能しません。しかし、苦痛には応じることができるのです。

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